第1回
アサヒビール株式会社 東京支社中央支店課長補佐
安斎和之氏
安斎さんは、アサヒビールにおいて、通常の所属エリアにある飲食店に対する営業に携わりながら、英国からの輸入ビールである「バスペールエール」も担当している。
ビール会社の営業の方は概してお酒好きであり、いろんなお店を巡るのが日課とも言えるだろう。安斎さんも例外ではなく、日々いろいろな酒場を仕事でもプライベートでも訪れているという。
だが、安斎さんは、その中でもパブに対して熱いまなざしをむけている。普通の考えだったら、「バスペールエール」を取り扱う店舗が主にパブであるというのがその理由だと思うだろう。だが、安斎さんは、あくまでも個人の立場、考えからパブに対して深い愛情を注いでいるのだ。そこで今回のインタビューでは、そのパブに対する想いを語ってもらうことにした。
まず最初に申し上げておきたいことは、最近になっていわゆるパブというものは出店ラッシュといえる状況にあるということです。これは、ここ10年間くらいの動向を比較していけば明らかです。そういった意味では、まだまだマーケットとしては小さいかもしれないけれど、確実に市民権を得てきているといえるでしょう。その一方で、いわゆるパブという酒場に対するイメージ、失礼な言い方をすれば固定観念は、あまり変わっていないような気がします。つまり、パブとは、外国人の人がたくさんいて、英語ができないと入りづらい、あるいは、外国人目当ての人が行くようなところである、といったイメージですね。この状況はなんとしてでも変えていきたいと思っています。
私にとってのパブのイメージ、パブの定義とは、いつでも、だれとでも、たとえ一人でも、たとえ一杯でも気軽に飲める酒場だといえます。少し話はそれますが、私の趣味は山登りなんです。もちろん、一緒に登る仲間がいるのは楽しいのですが、一人で山の中を歩くのも、何もわずわらされることがないので、それはそれで楽しいものです。それと同様に酒場に行くという行動でも、何もわずわらされないで飲めるというのもあっていいと思います。そういった意味では、私にとってパブとは、まさにオアシスといえます。パブのいいところというのは、とにかく気軽に入ることができるということです。私の考えでは、海外旅行にいけるんだったら、パブに行けないはずがないと思います。とにかくまだ行ったことのない人は、だまされたと思って行ってみてほしいですね。行けばきっと何かがあると思います。

よく、パブとバーはどう違うの?あるいは、立ち飲みの居酒屋とパブはどう違うの?という質問をされることがあります。その答えとして、バーや立ち飲みの居酒屋というのは結局飲食というのが目的であるといえます。それに対してパブは、決して、飲食を目的にしないという点が決定的に異なります。さきほどオアシスという言い方をしましたが、私の考えでは、パブとはまさにそれに尽きると思います。お酒を飲むのだけれども、それだけが目的ではない、その感覚をわかっていただけたら、よりいっそうパブを楽しむことができるのではないでしょうか。
あと、最後になりますが、私の取り扱っているビールに関してひとつ申し上げたいことがあります。日本人は、あまり銘柄にこだわらないという傾向があります。居酒屋に入ったら、「生中」とか、「ビール」とかいってビールを注文しますよね。
パブに関しては、通常複数の銘柄のビールが置いてあります。ですので、せっかくだからこだわりをもってビールを注文してほしいと思います。パブでビールを注文するなら、「とりあえずビール」というのではなく、「このビール」と言って注文していただけたらと思います。もっともそのビールが「バスペールエール」であれば、私の立場としては言うことはないのですが(笑)。それはさておき、ご自分のお口にあったお好みのビールを探し当てていただきたいですね。

さきほどの、パブは飲食を目的にはしないという話とは矛盾してしまうかもしれませんが、パブを訪れるきっかけとして、いろいろなビールを飲み比べてみる、というのはいかがでしょうか。それを入り口にして、さきほど申し上げた本当のパブの魅力というものに触れることができればラッキーですよね。なにはともあれ、一度パブに行ってみてください。病み付きになりますよ。
安斉さんのお話を伺っていると、パブや、お酒に対しての愛情がひしひしと伝わってくる。我々も精進しなければと、こよぱぶ編集部一同も大いに刺激を受けたのであった。
最後に、インタビューの申し出を快諾してくれた安斉さんと、アサヒビール株式会社の広報の方にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。今後も不定期でインタビューを続けていくつもりなので、ご期待を!